狂演、1人パワーボム in 尾瀬戸倉(2015.01.12)
「お、娘。喜べ、お客さんが4人先乗りしてるって」
「マジで。ってことは6人。盛り上がるね」
「全く。久々だよ、こんなことは。メールしておこう」
『パフパフだろ?先に滑ってて』
『いえいえ、一緒に滑りましょうよ』
「だってよ。もったいないから、やってくれればいいのに。急いで行くべ」
「ラジャーです」
本日の登場人物
矢野君。「ごぶさただね、スノーボードは」「はい、宝台樹以来です」 |
小林君。「はじめまして」「よう!若そうだね」「はい、19です」「…」 |
笠原君。「デブったろ?」「え!いきなりそこですか」 |
飯塚君。「はじめまして」「矢野君かと思ったよ。宝台樹のときの」 |
娘。「父、パフパフだよ」「だな」 |
私。「今日のパフパフコンディションは最後にふさわしいね」「え!?社長、もう今季終了なんですか?」「いやいや、娘だよ」「ってことは、社長一人ですか?」「いいや。矢野君、君がいる」「…」 |
「お待たせ」
「おはようございま〜す」
「よう、皆の衆、いいね、いっぱいいると」
「どうしますか?」
「右側の急なとこあるでしょ。あそこは滑走可なんだよ」
「マジっすか。残っているのに誰も行かないんで、禁止かと思いましたよ」
「大丈夫。ゴリポンさんのお墨付きだから」
「懐かしいですね。ゴリポンさん元気ですか?」
「いや〜どうだろう。オレも会ってないんだよ」
「いや〜良かったですね。まだ2、3本行けますよ」
「でしょ。この後はあの3連キッカーの上だよ」
「あ〜ありますね」
「よっしゃ〜行ってみる?あれ!?若手の2人、どうしたの?」
「慣れてないんで」
「え、そうなの?」
「2人は始めて2年目ですよ」
「う〜ん、若いって素晴らしい」
「う〜腹減ったね、早いけどメシにする?」
「いいっすね。足もきてますし」
「じゃあ、行くべ。みんなクレープ食べるんだろ?メシは軽めにしておけよ」
「あ、そうでしたね」
「父、あたしゃ牛筋定食食べたいんだけど、ゴハンはいらない。あげるよ」
「え!?じゃあオレはソバだけにして、かき揚げソバライスってわけ?」
「それで」
「オレもそれにしよう」
「モツ煮定食にしょう」
「飯塚、そんなに食ってクレープいけるの?」
「大丈夫ですよ。もしダメなら笠原さんにあげますよ」
「ナニを?」
「ごはん」
「てめえ」
「矢野君、若いって素晴らしいね」
「ええ、定食食って、そのあと何かスペシャルなクレープ食ってましたよ」
「よっしゃ、ぼとぼち午後の部行ってみる?」
「そうっすね。少し燃やさないと」
「凸凹でしたね」
「全く。じゃあパーク行ってみるか」
「そうっすね。久々にキッカー行ってみるかな」
「ナニ言ってるの、矢野君。グラウンドで5まわって、8mキッカーで3やってたじゃん。前は」
「ナンか遠い昔のような気がします」
「オレは足がつりそうだから休んでる。行ってくれば」
「わかりました。行くぞ、飯塚」
「お、流石矢野君、6mも9mも無難に」
「社長、次は飯塚ですよ。あいつは直下って来ますよ」
「あ、ほんとだ。来た来た。おいおい、そのまま行っちゃうの?あ〜」
「あははははは。思い切りまくられてる」
「ずいぶん飛んだね、強烈なパワーボム」
「大丈夫なの?父」
「う〜ん、まあ雪が柔らかいから…の割りにはでてこねえな、やべ見にいくぞ」
ゼーゼ、ハーハー。ゼーゼ、ハーハ
「あ、足がつった。動けねえ。悪ぃ。皆で見てきてくれ」
「わかりました。あ、パトロールの人がモービルで上がっていきましたから、大丈夫でしょう」
「いやいや。かえって心配だろ。笠原君」
「飯塚、どうした?」
「胸がちょっと痛いんですよね。息も苦しくって」
「パワーボムだからね。息は詰まるよね。胸はヒビでも入ったんじゃないの?」
「いえ。大丈夫でした。医務室に看護士さんがいて、念入りに調べてくれました」
「え!?それって女性なの?」
「はい、もちろんです」
「社長、こいつデレデレしてましたよ」
「じゃあ平気だな」
「飯塚、社長に飛ぶ前に言われたろ『拇指球を意識していけ』って」
「はい、笠原さん。どっかいっちゃいました、それ」
「スピードが速過ぎて、制御不能」
「どうするの?矢野君たちは。あがり?」
「そうっすね。パウダー満喫したし、怪我人出ちゃったし、足もちょっと来てるし、あがります」
「じゃあ、気をつけてね。オレも一発行くか、13m」
「あ、じゃあオレ追い撮りしますよ」
「そう、悪いね。矢野君」
「一回しか行けないと思うんだ。足がヘロヘロで」
「わかりました。決めちゃってください。何やりますか?」
「6mはストレートで、9mはBS3で、うまく着地できから13mをバコーンっと」
「じゃあ矢野君行くから」
ヒョイ
「痛ぇ、足つった。テテテテ。8mは無理、スルーして13m」
「アレ!?8mスルー。社長、早え。追いつかねえ」
「ゲッ!凄えスピード、果たして踏み切れるのか…!?」
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編集後記
「大丈夫ですか?」
「全然平気だけど、ゴーグルがどっかに行っちゃったよ」
「あ、ありましたよ。小林、取ってきて」
「やっべ、次の人来ちゃった。小林君よけて」
「あ〜良かった。うまい人で。余裕でよけて行った『すいません。邪魔しちゃって』」
「やっぱうまい人は違いますね。13mを飛びつつ、余裕で避けて滑っていきましたよ」
「リフトからみんな『危ない』って教えてくれたのが聞こえたみたいね」
「はい。それが聞こえるってのも凄いですよね」
「全くだよ、矢野君。悔しいからもう一回行くから」
「どうしたんですか?」
「あ〜一発目で足がつったんだよ。で、スルーして行ったら、踏ん張れなくて、スピードに負け、スカッとなった」
「結構、飛びましたよね」
「そうね。久々のパワーボムだったけど、こっから行くのかっていう高さが、かなりのもんだったよ」
「パウダーが効いちゃいましたか」
「どうもそのようだよ」
「父、帰りの運転あるから、諦めたら?」
「あ〜そっか。宿題にするか…」
「そうだよ。一回フリーランして帰ろうよ。あたしも悔いが残るし」
「そんなわけだよ、矢野君達。お疲れ様」
「お疲れ様でした。社長生きててくださいよ」
「あの位じゃね〜」
「そうでした。社長ですからね。お疲れ様でした」
「飯塚君、また遊んでくれよ」
「わかりました」
「じゃあ行くか、こっちも。フリーラン」
「娘、すまん。両足つった。無理。一人で行ってこいよ」
「まったく〜。コーヒーしか飲まないから、そうなるんだよ。アクエリアスとか飲まないとダメだよ」
「確かに。良く言われるんだよ。試しに飲んでみるか」
ゴキュゴキュ
「く〜染み込む〜。なんか吸収してるって気がする。何か元気出てきた。娘、撮ってくれ。行ってくるから」
「いやいや。もう上がりですから。運転の方、しっかりお願いします」
「そっか、そうだよな。じゃあ、宿題にするわ。みなさ〜ん、スポーツドリンクは重要です」
「そのとおりです。しかし飲み過ぎには注意しましょう」
「みなさん、来週から一人ぼっちです。一緒に行きませんか〜」
「アタシからもお願いしま〜す。父の監視をお願いしま〜す。おバカな父なんで」
「…」
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