ピロリロリーン 「お、矢嶋君からメールだ。ナニナニ風邪引いていけない…何だよまた一人かよ」 「旦那さん」 「何ですか奥方?」 「誰と行くの?正月は」 「う〜〜〜ん。一人かもしれない」 「そう、危ないからやめてね」 「やべ。誰かいねえのよ」 「こんにちは」 「お〜!いらっしゃい金やん、君スキー行きたいでしょ。行きたいよね」 「え、なんですか」 「…というわけなんだけど、元旦行かない?」 「行きません。親戚に挨拶回りです」 「そういうのは2日にするんだよ。うちはそうだぜ」 「い〜え、元旦に行きますから」 「ちぇっ!つまんねえの。こうなったら、得意ワザ嘘八百で行くしかない」 「そうしてください」
「旦那さん、行かないの?」
「パークってのはあるんですか?」
「あるってホームページには書いてあったよ」 「ん〜あれですか?」 「あ〜そうだよ。あれ1個だけだよ。ナローボックス、しかもニョロっと入れるヤツ」 「あ、あれなら僕もできます」 「俺は全然ダメだよ、ああいううの。しかも左側が斜面でヒール抜けになっちゃうし」 「まっすぐそのまま行けば、いいじゃないですか」 「普通はね」 「いいじゃないですか、普通で」 「やっぱ飛びたいじゃない」 「そうなんですか?ヘンですよ」 「あ〜やっぱダメだ。あそこの段差で飛ぶから、誰もいないか見てきてよ」 「OKで〜す」 「よっしゃ〜あれ!?」 「どうしました?」 「びびって崖から落っこちた。次でもう一回やるから」 「OKで〜す」 「よ〜し。トゥ抜けのオープンで。うりゃ!いい感じで3回る」 ど〜ん。ゴロゴロゴロ。 「痛ってえ〜。肩から落っこちた。ロデオかよ。でもスリー回れた」 「元気ですね。53歳ですか」 「まあいいから、そういうのは。次でももう一回やるから」 「OKで〜す」 「今度は冷静に。うりゃ!レ・レ。勢いで腕が戻った。180止まり」 「良かったですよ」 「まあ…ね。180的には。180ならあんなに振らなくてもいいのにね」 「え!違うんですか?」 「本当はね、360を狙って思い切って腕を振ったら、勢いで戻った」 「で、180でとまった訳ですか」 「言わなきゃわかんねえだろ?」 「はい」 「ゴメン。金やん、帰ろう。両足つりそう」 「あんなに、はしゃいでるからですよ。自分もやばいし、リフトも11回乗ったからいいでしょ」
編集後記 |