「どうする?たまには下行ってみる?」
「はい、ちょいと下りて、上るのフルコースで」
「オッケー牧場。思ったよりも濁りもなく、水量もやや多いで理想的だね」
「はい。凄ぇ釣れそうなんですけど」
「信じる者は救われる。投げ倒してくれよ」
「それじゃあいつもと同じじゃないですか。爆投」
「ガハハハハハハ。結構じゃないの。最終回だし」
「社長、真実を見せてくれるんでしょ?」
「それはオレ」
「じゃあオレは?」
「君次第。そして信じる者は救われる」
「そんな。宗教みたい…な」
「いいじゃねえかよ。神秘的だろ」
「戦争とか始まらないですか?」
「そんな宗教じゃねえから。誰にも迷惑をかけない宗教だから」
「アヒャヒャヒャヒャヒャ。凄い都合のいい話ですね」
「いやいや、本来宗教ってのはそういうもんだよと思うんだよ。無宗教のオレは」
「お〜!出たね」
「見ちゃいましたよ。幸先いいじゃないですか」
「な〜。信じる者は救われるって言ったろ」
「いえ、社長。出ただけで釣れてないんですけど」
「今のはお試しだから。信じてるかどうかの」
「マ〜ジですか」
「そんなこと言ってると、くらっちゃうぞ」
「大丈夫です。ガリガリ信じてますから」
「既にダメだよ。そのガリガリってので」
「じゃあ、モリモリ」
「その調子だね」
「社長、信じて投げてます?」
「あったり前田のクラッカーだよ」
「また、わかんねえ、それ」
「先輩に聞いてこい。でなもんや三度笠、知ってるって」
「全然わかんないけど、全くアタリないんですけど。信じてやってるんですけど。モリモリ」
「何か、この辺はゴミやら濁りやら、ひどいからじゃない」
「あ、あそこから来てますよ」
「あ、あれか〜。あそこが開いちゃってるからか〜。じゃあ寝るか」
「はい。で、起きたらゴハンですね」
「完璧。寝る」
「寝たね〜ガッツリ1時間」
「はい、お湯沸かしますか?」
「そうね。ラーメン食って、コーヒー飲んで」
「はい。救われちゃいましょう」
「社長、ちょっと放尿タイムお願いできますか」
「あ〜そうか。いいよ」
「社長は行かなくていいんですか?まだ1回も行ってないですよね。オレ3回行ってるのに」
「そうだな。オレも行っとくか。いいよ、降りて。オレが抑えてるから」
「すいません、す、す、すいません」
「そんなにかよ。じゃあオレもいくか。 やべ!?何か遠くで呼んでたものが近くなってきた。う〜ん弱ったな」
「社長、なんか爽やかな顔してませんか?すっきりというか」
「ウォッホッホッホッホッホ。そんなことはありませんよ」
「社長、山田さんに変身してきたでしょ」
「ウォッホッホッホッホッホ。変身というか乗り移られた」
「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ。完璧じゃないですか。モリモリしてきたんですか」
「ノーコメント。ガンガン行くよ」
「こっから下らないと、時間的にヤバイから」
「モリモリ信じてるオレにもなんかありますかね?」
「そのモリモリってのはやめろ。別のモノが出てくるから」
「アヒャヒャヒャヒャヒャ。やっぱり」
ガバッ!
「出た。のった。小さえな、これ」
「網アミ網」
「いい。バレタ」
「え〜」
「そういうなよ。オレもさみしいんだから。まだまだこれからだよ」
「やっぱペンシルなんですかね?」
「そう。下りはペンシル」
「じゃあオレも」
「う〜ん、う〜ん、う〜ん。微妙に腹空いた」
「モリモリしちゃったからですよ」
ガバッ!
「出た。けど、全然ルアーが消えない。魚はあんなに見えたのに」
「オレも見ちゃいましたよ。食い損なっちゃった感じですね」
「ちょうど回収しようと思って、巻き始めたら、出ちゃったんだよな」
「惜しかったですね。結構なサイズでしたよ」
「全く。まあいつも目標はワンバイトだから、充分か〜」
「え〜!?オレは何にもないし」
「ガリガリとかモリモリとか言ってるから、ダメなんだよ。無だよ、無」
「ノーバイですか?」
「その無じゃないの。無心だね」
「難しいですね」
「そんなことはない。君が欲張りなだけだ」
「社長は違うんですか?」
「オレ?オレは掛ける2だよ」
「アヒャヒャヒャヒャヒャ。じゃあ倍じゃないですか」
「そうだよ。ギラギラしまくり」
「おかしいな。何でこっちは何にもないんだ」
「あと1時間頑張っていこう」