「あれ!?今日は皆早起きだ。全員が。おはよう、皆様」
「ごきげんよう」
「おざーす」
「おは」
「昨日の温泉が効いたよな」
「確かに。爽快ですよね。先輩とオレは」
「いやいや、社長。我々も充分爽快ですから」
「こりゃ失敬。オレと山田君は昨日のことを踏まえ、今日にかけるわけだよね」
「ええ、♪ライクアブリッジ♪」
「山田さん、それじゃあ明日になっちゃいますよ」
「ダマレ。今日はどうすんの?2連チャンプ」
「初日に戻りましょう」
「社長、だそうです」
「じゃあ、気持ちよく、行ってみるか」
「昨日の夕方と違って、静かな立ち上がりですね、先輩」
「全くだよ。昨日の風と波、うねり。沈むかと思ったよ」
「ですよね。そう思って、手前で揚げて正解でしたよ」
「あそこからさ、車まで行くの本当はやだったんだよ」
「はい、そんな顔してました。死人みたいだったです。なので、オレが走って、車を取りに行きました」
「結構あるよね」
「はい。300m位ですか。今日は無理っすよ、走るのは」
「社長、隣の川行ってきます」
「了〜解」
「キタァ。でか」
「兄ぃ、46.5cmです。川島君のペンシル」
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「うぉっほっほっほっほ。歌が効いたね」
「山田さん、でも小さいですよ。38cm」
「ダマレ」
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「おかしいな?こんなときは初心に戻る。レッドペッパー。えい」
シュポ
「お!吸い込んだ」
「引く〜引く〜」
「あれ!?でけえ。先輩、48cmですよ。確定ですかね」
「50あるかと思ったよ」
「おっとまた来た」
「41」
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「水温が上がってきたみたいですね。出方が良くなってきましたよ」
ボフッ
「よっしゃ!」
「また〜。先輩、それ雷魚だから」
「え!?あ〜あ」
「バーブレスですよね?」
「もちろん」
「じゃあ静か〜に放しちゃいましょう」
「アディオス」
「来ましたよ。例のポイント」
「言うなよ。ドキドキするから」
「お!いった。珍しい。3日目にして」
ガバッ
「来ましたね。先輩。ランディングは任せてください」
「先輩、44マグナムです」
「よっしゃ」
「ルアーはボロボロのGiantDOGーX」
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「先輩、帰りに備えて寝ますので、好きなように操船しながらやってください」
「お〜そうかい、悪いね。そうさせてもらうよ。だけどさ、この炎天下の中、ここで寝るの?」
「もちろん。日陰に入って休んだら、釣りにならないでしょ」
「そうだけど、さ〜」
「ご心配なく。特技なので。炎天下の中の昼寝」
「う〜暑い!暑いぞ、八郎。日差しが違う」
「だろ。この天気だもん」
「空が近いですからね、八郎は。30分しか寝られなかったですね。操船かわりましょうか?」
「頼む。釣りにならん」
「やはり。そんな気はしてました。お任せください。徹底ガイドしますから」
「う〜頭ガンガンしてきた」
「どうしたの?具合悪いの?」
「いえ、ちょっと眠いだけです。釣りに集中してください」
「集中はしてるんだけどさ〜」
「初日、2日目に比べれば、だいぶマシになりましたよ。キャスティングが」
「う〜ん」
「雲行きが怪しくなってきたんで、場合によっては早上がりになります」
「あ〜あの雲か…」
「はい。昨日みたいにバッシャバッシャになる可能性もありますから」
「じゃあ早く釣らねえと」
「先輩、道具仕舞ってください」
「いや、もう仕舞ったよ」
「あ、流石。何かガサゴソやってるなと思ってましたが」
「この波とうねりじゃあ、危なくって投げられないよ」
「じっとしていてください。昨日のとこに船着けますから」
「あ〜あっちも来たよ」
「よう!危ねえから揚げた方がいいよ、山田君たち」
「ええ、兄ぃと自分はそのつもりですよ」
「あ〜ゆるキャラ。ムダな抵抗はやめろ!」
「こっちは社長の船なんで、なんとかなると思います」
「了解。気をつけて」
あとがき
「お疲れ様でしたね、先輩。どうでしたか?」
「いや〜疲れた。でも、楽しかったよ。いろいろ教わったし」
「はい。厳しく言いましたから。オレの指示には絶対服従と言いましたから。それはちゃんと果たしてくれましたね」
「そうだよ。わがままじゃねえし」
「はい。それも守ってくれましたね」
「そうさ〜」
「はい、無事釣れたんで、良かったじゃないですか。あとはキャスティングですよ」
「う〜ん、竿頼みに行く」
「ありがとうございます。でも、竿よりリールだと思いますよ」
「そうか?」
「あれ?あんだけやられたのに、まだ疑ってる?」
「そ〜うじゃないんだけど…」
「まあ、それは今後の話なんで。それより早く撤収しましょう。あっち組もあがったことだし」
「社長よ、車まで行くの?」
「あっはっははははは。元スーパースターにはむりでしょう。オレが行きますよ。でも、今日は走れないですよ」
「悪いね。頼むよ。300m位はあるよな」
「はい。では行ってまいります」
(う〜頭が割れそうに痛い。割れてしまうかもしれない。これか、熱中症ってのは)
「あ〜やっと着いた。お疲れ、お三方」
「あ、社長。お疲れ様でした。今日もこっちまで来たんですか?」
「そりゃそうです。山田さん。先輩には無理ですから」
「うぉっほっほっほっほ。きつかったですよね、今日の日差しは」
「だよね。頭ガンガンするんだけど」
「それ、ヤバイんじゃないですか?」
「大丈夫。対策はしたから」
「さて、じゃあ片付けて帰りますか」
「よう?ペーヨン君。一言もしゃべんないけど…」
「はい。ガイドに専念しました」
「あっはっはっはっはっは。モノは言いようだね」
「はい。今年も八郎潟を満喫しました。ひとつ違ったのは、社長、雨が降らなかったです」
「確かに。ペーとオレが組んで雨が降らないのは珍しい。それにしては寒かったけどな。2日間」
「はい。今日だけですよ。天気がよかったのは」
「にもかかわらず、キミは〜?」
「それ以上言わないでください」
「いいじゃん。全て満喫ってことはそれもないと」
「アヒャヒャヒャヒャヒャ。ありがとうございます」
「じゃあ帰るから。国見までフリーだから」
「お疲れ様でした」
「社長!」
「何すか、先輩?」
「運転かわるよ。充分寝たから」
「いいんですか?実は調子悪いなあって思ってたんですよ」
「全然そうは見えないけど。電話で起こされたから、眠気がどっかにいっちゃったよ」
「商売ご繁盛で結構でございます。それでは運転お願いします」
「やっと復活したかな。今どこですか?」
「長者ヶ原」
「え!?そんなに来ちゃったんですか。けっこう寝てたな。オレかわりますよ」
「いいの?実はさ、突然だね、睡魔ってのは。急に来たんだよ」
「任せてくださいよ。復活しましたから」
「先輩、着きましたよ」
「国見?」
「何寝ぼけてるの。国見でメシ食ったでしょ。羽生ですよ」
「あ〜そうか」
「お〜お三方。大変お疲れ様でした」
「お疲れ様でした」
「中村さん、いかがでしたか?今回の遠征は」
「たまげたよ。みんなの上手さに。須田っちもさ〜矢島さんもさ〜。でもって、オレの息子並のゆるキャラ男くんまで。びっくりしたよ」
「ウォッホッホッホッホッホ。じゃ良かったじゃないですか」
「そうね。魚も釣らしてもらったし。また頼むよ」
「ウォッホッホッホッホ。それは社長に聞いてください。ね〜社長!」
「あ〜いつでも言ってください。シンデレラガールの奥さんが『いい』と言えばいつも」
「アヒャヒャヒャヒャヒャ。結局そこですか」
「そうだよ。事実だから。あっはっはっはっは」
「社長、アヒャヒャヒャ。そこで笑っちゃダメでしょ。アヒャヒャヒャ」
「おめえもな。今回のことは、ちゃんと書いておけよ。『魚もいっぱい釣れて、キャスティングも上手くなって、雨も降らずとってもいい釣行でした』ってよ」
「え!?何にですか?」
「決まってんだろ。裸で待ってるあの娘に送るんだよ!ね〜社長!」
「ほんとに裸なんだ。いいな」
「社長も山田さんもやめてください。違っているに決まってるじゃないですか」
「『そして2回チャンピオンになり、みんなにご馳走して貰って、みんながうらやましそうに見ていた』と、日記には書いておけよ」
「社長、こいつにはわかんないですよ。龍角散の宣伝はわからないですよ。説明しても混乱してわかんなくなるから、その辺で」
「お〜。あったよな『今日、バス停でミチコさんに会った。仲良くお話できて、嬉しかった』と日記には書いておこうって、あれか」
「先輩、ありがとうございます。それです」
「わかんねえだろ。うち帰ってよ、オレの同級生に聞けよ」
「何キョトンとしてるんだよ。おめえのオヤジさんだよ」
「あ、わかりました。聞いてみます」
「いや。聞かなくてもいいから。ややっこしくなるからね」
「みんな、明日仕事っしょ?そろそろ帰って方がいいんじゃねえの」
「社長が引っ張るからですよ」
「お〜すまんね。ペーヨン君。龍角散飲んでる?」
「アヒャヒャヒャヒャヒャ。またそこですか」
「社長、悪かったね。いろいろ」
「いえ、先輩。あんなに運転して貰えると思いませんでした。こちらこそ助かりました。もう行きませんから」
「え〜!そんなこと言うなよ」
「いえいえ、八郎には行きませんってことですよ。遠征は年に1回なので」
「ええ、そうですよ。来週から厳しい修行が待ってますから」
「お〜じゃあ、それに行くよ」
「それはシンデレラガール次第ということで」
「アヒャヒャヒャヒャヒャ」
「じゃあ、また来週〜」
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