恒例、八郎潟遠征1日目(2015.06.15)

「社長、着いたよ」
「え!?八郎近いな。安達太郎から記憶がない。申し訳ないね、先輩」
「だ〜いじゅだよ。その分、帰り頼むよ」
「任せてください。国見まではがっつり運転しますから」
「いや〜3年ぶりだよ。楽しみだな」
「1つ心配があるんですけど」
「何が?」
「キャスティングです」
「だ〜いじゅだよ。任せておけよ。ハイテクリールがあるから」
「(大丈夫ってことか!?『だ〜いじゅだよ』ってのは) それって、もしかしてシマノのDCリールですか?」
「お〜それだよ。全然バックラッシュなんかしないから」
「今祈ってますよ。神様仏様キリスト様そしてモハメッド様」
「あははははは。だ〜いじゅだよ」

本日の登場人物

ペー。「柳沢さんの分まで」「お〜金井君のもな」

矢島兄ぃ。「じゃあ自分は部長の分を」「あ、それは先輩らしいですよ」

山田君。「うぉっほっほっほっほ。自分の分を釣りますよ」「だといいけどね」

中村先輩。「楽しみだな〜」「不安が…」

私。「どうなりますか、なんと言っても先輩と一緒です」「だ〜いじゅだよ」

「まずは山田君、3人で向こう側をチャッチャッチャッと釣っちゃってよ」
「え!?いいんですか?すいませんね」
「ペーヨン君、操船は君かい?」
「はい、オレです」
「くれぐれも余計に踏むなよ、エレキを」
「大丈夫です」
「社長、踏んだら、三角絞めしますから」
「いいね。じゃあ先輩、俺らはこっち側で」
「楽しみだなぁ〜」


「2015年八郎潟遠征初日、始まり始まり〜」

「社長」
「はい、何でしょう?先輩」
「サウスポーだったんだね、知らなかったよ」
「え!?いやいや、右利きですけど。浅丘めぐみちゃんじゃないから」
「あ!?あ〜左利き〜♪か」
「オレは右利きですけどね」
「じゃなんで左で投げてるの?」
「右で投げると、先輩を釣る可能性がないともいえないでしょう。左ならだいぶ離れるんで」
「左でそれなの?」
「はい。反対方向に進むときは右で投げますよ」
「なるほどな」
「そんなことより、どんどん投げてください」
「いや、その…」
「もうちょっと離しますか?」
「いや、その、まあ…」
(やはり心配事が的中したようで、もはや神頼みは間に合わない)
「先輩!それじゃあ釣りにならないから。厳しく指導するから」
「えぇ、ダメ?」
「話になんないしょ。自分でもわかるでしょ」
「まあ、その…」
「スーパーポヨヨンだから引っかかる。そのあとは届かない。そしてバックラッシュ」
「気が付いてたんだ?」
「当たり前じゃないですか。あれほど言ったでしょ。来る前に」
「いや〜ここまで凄ぇとは思わなかったんだよ。あっちの3人もそんなキャスティングなの?」
「ペーヨンがやや先輩寄りですが、他の2人は抜群ですよ。そのペーヨンだって、やるときはやりますから」
「あそう。俺たち何してたんだろうな」
「社長!」
「おう、噂のペーヨン加藤。何だね?」
「全然反応がないんで、隣に行ってきます」
「歓声があがらないから、変だなあと思ってたんだよ。エレキびんびんに踏んでねえか?」
「いえ、それはないです。兄ぃが試しにグリフォン投げてましたけど、全くです」
「確かにいつもより水温が低いよね」
「じゃ、行ってきます」



「キタぁ〜。40と43です」


「フン!フン!フン!!」
「山田さん、そのうなり声の割りに小さいんですけど。41です」
「黙れ!スカタン」
「これからですよ、オレの出番は」



「キタキタキタキタキタキタキタ。アミアミアミアミアミ」
「ど〜れ、アミはど〜こかな。兄ぃ、そこにありますね」
「やまやまやまやま山田さん、はやはやはや早く」
「そんなに巻くなよ、ホレ。あれ!?でか」
「カトちゃん、47cm。あとは39」

「あ〜加藤君、手震えてるね」
「山田さん、オレのスマホで写真撮って貰っていいですか?」
「あ〜釣りできねえだろ」
「お〜願いしますよ」
「どれ」
「山田さん、それ反対です」
「面倒くせえな。パシャパシャパシャパシャパシャパシャ。どう?これで」
「山田さん、それ連写じゃないですか」
「いいじゃねえかよ、パラパラ漫画みてえで」
「何はともあれ、こっちに来て正解ですね」
「兄ぃ、冷静な分析ですね。社長達どうしてますかね」
「ええ、ちょっと見てたんですけど、凄かったですよ、先輩が」
「え!?」
「キャスティングですよ。スーパーポヨヨン」
「それ、社長が一番心配してたヤツですね。こいつよりひどかったですか?」
「あはははははは。カトちゃんの方が遥かに上手いですよ」
「どうしてますかね、社長」
「あれ!?加藤君、ずいぶん余裕ぶっこいちゃって。もう送ったの?パラパラ漫画」
「はい。無事送れました」
「ほう。返事は?」
「いや、ちょっと見せらんないです」
「あ〜裸なんだ」
「え〜!?それっておかしいでしょ?何で裸なんですか」
「いいからいいから。どんどん行こう」

「ヤバイね、先輩」
「う、うぅ〜ん」
「メシでも食いますか?腹減ったし、まずは腹ごしらえ」
「う、うぅ〜ん」
「この先に水門が大小取り混ぜていくつかあるんですよ。その周りにルアーが行けば出ますから。くれぐれもびっくりしないでくださいよ」
「だ〜いじゅだよ」
「お、ちょっと元気出てきましたね。その調子でお願いしますよ。テンションさがっちゃいますから」
「う、うぅ〜ん」
「お!出た。のった。よっしゃ〜」



「ボニーのチャート。41cmと42cm。
先輩、オレは釣りましたから、全部投げてください」
「う、うぅ〜ん」

「先輩、来ましたよ。水門ですよ。ここは広いから楽勝でしょう。水も流れてるし、どうぞ」
ポヨヨ〜ン。カーン
「え!?そこですか?じゃあそのまま流しちゃいましょう」
ガバッ
「あ〜あ、予想通り、びっくり。じゃあ左側」
ヘローン
ガン
「またそこ〜?そのまま流しちゃって」
ガバッ
「あ〜ややびっくり。真ん中が大きく開いてますから、お願いしますよ」
ポヨーン
カーン
「また遠くまで行きましたね。でもコースはいいですよ。ルアーが死んでなければ」
「あ、死んでますね。じゃ、もう一回」

「先輩、今度はちょっとテクニカルですよ。いい具合に水流れてますよ。U字工事」
「う、うぅ〜ん」
「奥へ入れろとは言いません。出口でいいですから。どうぞ」
ヘローン
ガサガサ
「ま、予想通りだね。そのまま落としちゃって」
チャパ。チャパチャパ
ガバッ
「お、今度は完璧なアワセ。慎重に」
「フン、フン、フンフン」
「いやいや、そんな追いアワセなんかしなくていいですよ。外れちゃうから。ほら〜ね〜言った通り」
「う、うぅ〜ん」


「先輩、良かったですね、釣れて。終了30分前です。ちなみに36cm」
「ほんとだよ。やっと釣れたよ」
「いやいや。何回もばらしてるし、自ら放棄してたじゃないですか」
「そうだよな。社長が投げたら、全部釣れてるよな。全然ダメだな」

「お〜!あっちチームも帰ってきた」
「お疲れ様です」
「あれ!?ペーヨン君、その軽さからすると、釣れちゃったりしたわけ?」
「はぁ〜い!47と39です」
「あっれ!?マツムシが鳴いている♪はい、山田君!」
「チンチロ、チンチロ、チンチロリン♪ 何やらせるんですか、社長」
「ご協力ありがとうございます。この時期にマツムシが鳴いちゃう位、びっくりしたってことだよ」
「ええ!びっくりですよ。しかも全員2匹づつ釣りましたから。バラシも多数ですよ」
「こっちも、オレが2匹、先輩が1匹無事釣れました。良かったよ」
「ということは、本日の勝者は…」


「ペーヨン加藤君です」
「メシは?」
「はい、サンルーラルの中華で」
「社長よ、そこはうめえの?」
「全然。微妙に進化してるんで、確認に行くわけです。それが八郎に来たときのしきたりです」
「え〜!じゃあさ〜オレが知ってる美味いとこ行かない?」
「あのですね、中村先輩は36cm最低ですね。ペーヨン君は47cmで王者です。選択肢は先輩には全くありません」
「そうだよね。オレがおごらないといけないんだよね」
「そうです。前に説明したゴチバトル敗者の掟です」
「すいません。中村さん。確認したいんで。明日、中村先輩が勝てばいいんですよ」
「中村さん、すみません。こいつ、ゆるキャラなんで」
「だ〜いじゅだよ。今日で分かったから、明日は釣っちゃうよ」
「お願いしますよ、どうか。1つ」

あとがき
「出て来たね、黒ゴマタンタン麺とチャーハン。どれどれ」
ズルズルルル〜
「う〜ん。進化なし。ただ辛いだけ、全く奥行きなし」
「社長、チャーハンはいけますよ。地味に進化してます」
「どれどれ。お〜。だね」
「社長、中村先輩が今回参加されたってのは何かワケでも?」
「加藤君、君ときどきいい質問をするから。ただのゆるキャラってわけでもないんだね」
「ウォッホッホッホッホ。社長、おっしゃる通りですよ。ただ、ほとんどがムカツクことばっかり、ぬかしやがるんですよ」
「で、先輩だよ。急にさ、連れてけって言い出したんだよ。去年、坐骨神経痛で休んでいたから、のんびり楽しみたいってことらしい」
「そうなんだよ。社長には乱入って言われちゃったよ」
「まさに。オレは奥さんがいいって言ったら、どうぞって言ったわけさ。絶対反対すると思ってさ」
「それがさ〜、2つ返事でOKだったんだよ」
「そんときオレは思ったよ。奥さん、先輩に興味ねえなって」
「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ。確か奥さんって社長と同級生でしたよね」
「そうだよ。イケイケのお姉さんで、当時スーパースターの先輩を射止めたシンデレラガールって、あっはっはっはっは」
「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ。社長が笑っちゃあダメじゃないですか」
「だってよ、全く面影がねえだろ。中学2年生のとき、走り幅跳びて6m40cm飛んじゃったんだよ。45年前に」
「え〜!普通なら強化選手ですよね?」
「だろ。でも、先輩、容易じゃないのがキライだから、断っちゃったんだよ」
「凄ぇ」
「今じゃさ〜1mも飛べねえよ。船に乗ってるだけで危ない。落水しそうで」
「アヒャヒャヒャヒャヒャ。社長と一緒じゃ余計にですよね」
「そうなんだよ。社長は凄いよ、1個しか歳違わないのに」
「そのときに条件を出したわけよ。1つ、一切のワガママは許さん。2つ、オレの指示には絶対服従。できますか?先輩って聞いたわけ」
「だ〜いじゅだよ。全然ワガママなんか言わねえから」
「社長、実際のところはどうなんです?」
「山田君、そんな条件を出す位なんだから、わかるでしょ」
「ええ、わかってますよ。確認のために聞いただけですから」
「先輩のさ〜、ご友人とかご同業の人たちが言ってたよ『いいの?』って」
「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ。どうだったんですか?今日は」
「そりゃあ素直ないい子だったよ。ご褒美に36cm釣れたし」
「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ。ご褒美にしては小さくないですか?」
「それはな、釣りしながら文句が多かったんだよ。それでマイナスじゃねえか」
「どんな?」
「ひとえに、自分のふがいなさに対して。『あ』とか『う』とか『何で!』とか」
「それって…」
「そう。『先輩、全部自分が悪いんですよ』って、そのつどいったわけ。先輩は『そうだよな』と反省したのか、しばらく静かになる」
「アヒャヒャヒャヒャヒャ。オレ以下ですね」
「今日はな、明日はわかんないよ。ねえ先輩」
「だ〜いじゅだよ」
「じゃあ宿行くか。明日をお楽しみに〜」


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