「あれ!?意外に水が多い」
「ええ。でも貸切ですよ。チャッチャッチャッといきましょうよ」
「よし。じゃあ上ろう」
「ここやってこうよ。誰もいねえし」
「おっ!いきなり出た。けど、のらない。あんなに持っていったのに」
「いいじゃないですか。出だしとしては悪くないですよ」
「そうね。じゃあこの調子で」
「あれ!?雨降ってきましたよ」
「やっべ。少し強くなってきたから、あそこに避難しよう」
「ひどかったね、今の雨」
「ええ。これで変わりますよ」
「どっちに変わるんですか?」
「山田君、はるお君が聞いてるよ。『どっちに変わるのか』って」
「あ〜。いい方に変わるように祈れよ」
「よう!バス釣れたか?」
「こんちわ。全然です」
「さっきそこにいたアンちゃん、40ちょいの釣ったぞ」
「あそうですか。うらやましいですね」
「雨が凄いんで帰ちゃったよ、アンちゃん。合羽もってねえんだな」
「入れ食いですね。調子いいじゃないですか」
「調子は千葉県だ〜」
「うまい!」
「そうでもねえだろ。さっきのアンちゃんが釣れたのはマグレだな」
「あそうですか」
「そうだよ。下手くそだったよ」
「そんなにですか?」
「あ〜。いろんなヤツ来るから、比べちゃうよな」
「なるほど。我々は向こうの方でやってきますよ」
「お〜それがいいよ。この辺はアンちゃんが荒らしていったから」
「結局、ダメだったね。寝るか」
「いいですね。なあハルオ」
「はい」
「あ〜良く寝たね〜2時間だよ」
「まったくね。陽気が良かったから。首が痛くてしょうがない」
「よし、この勢いで、さらに上流へ行こう」
「あ!出た。のってる」
「はるお君、そんなにゴリゴリ巻かないで。落ち着いて」
「あ!ばれました…」
「ね〜。ゴリゴリ巻けばいいって、ものでもないのよ」
「はい〜」
「お!出た。そんだけ」
「あれ、山田さん。出ましたね」
「ええ。ルアーがピクってしましたよ」
「この先でUターンしておりるか。時間も時間だし」
「そうしましょう」
「来た〜」
「はるお君、落ち着いて」
「はい」
「おい、巻けよ」
「…」
「あ、ばれました」
「それはそうだよね。そんなに糸ふけちゃったら、ばれるよね」
「はい〜追いアワセをしようと思って」
「しようと思って?どうしたの?ハルオ!」
「はい〜。でも、巻けなかったんです」
「あそう。次、頑張って」
「山田君、あそこどう?」
「ええ、頂きますよ。ヤナとんで」
ヘロヘロヘロ。ヘロヘロヘロ。ドーン
「あ!やっちゃった」
「見ましたよ。びっくりアワセ」
「あ〜自分も見ました」
「いいんだよ。余計なこと言わなくって」
「みんな、これでアタリあったことだし、あがりますか?」
「はい。いいだろ?ハルオ」
「はい〜もう十分です」