「こんにちわ」 「よう、栄ちゃん。いらっしゃい」 「昨日はすいませんでした。とんでもないトラブルが発生しまして」 「ほんと。そんな凄いの?」 「ええ、お客さんの設備屋さんが、そのお客さんの工場でトランスをクレーンでひっくり返しました」 「ええ!?なんでまた?」 「はい、操作ミスです」 「…」 「そんなわけで、今日になりました」 「そう。大変だったんだね」 「いえ、僕はその話を聞いていただけなんで。でも、取引先が消えちゃいそうです」 「あ〜補償で?」 「はい。保険ではまかないきれないそうなので」 「痛いね。どっちも」 「はい。釣りもまともにできてないし」 「やる?癒されるよ」 「はい?どこでですか?今ですか?」 「今でしょ」 「社長、古い!」 「歩いて15秒だから、今でしょう」 「え〜暑いっすよ」 「いやいや。日がだいぶ傾いてきたから、そうでもないよ」 「そう〜っすか〜」
「はい、栄ちゃん。餌つけたよ、グルテン。やってみて」
「ここでですか…」 「いいから、やってみなよ」 ピクピクピク! 「うわ!当たった。あれ!?餌がない」 「ね〜」 「早く付けてくださいよ、餌」 「はい、どうぞ」 ビク〜 「うわ、凄いアタリ。釣れた。小さ〜」 「あ、クチボソだね、よく釣れたね。こんなの5cm位しかないよ」 ピクピク 「あれ!?」 ピクピク 「あれ!?」 ピク〜 「やっぱり、アメザリ。社長、やってみてください」 「いいの?」 「はい、ちょっとカメラ持ってきますから」
「どうですか?」
あとがき |