恒例、八郎潟遠征3日目(2014.06.18)
「ここ、蚊がいますよね」
「ゆるい子は困るんだよな。こんな寒いのに蚊なんていねえよ」
「え!?だって、オレこんなにくわれちゃいましたよ」
「マジで?他の人は?」
「実は、みんなですよ。たぶん蚊じゃなくて、畳にダニがいるんだと思います」
「え!?兄ぃもやられたんですか?」
「ええ。右腕だけ、布団から出てて、畳の上にあったんですよ。そこだけやられました」
「じゃあ、ヤナギは平気だろ。廊下で寝てたんだから」
「いやあ、それがですね。みんなよりはマシですけど、多少やられてますよ」
「山田君と部長は?」
「気が付けば、やられてました」
「ええ、なんかかゆいと思ったんですよ」
「じゃあ、オレは何で平気なの?」
「人じゃないからですよ」
「人じゃない。ひとでなし?」
「ええ。そんな感じです」
「言ったな、ぺー。ひとでなしと言われたからには、そのように振舞うから。だけどさ、オレだけ平気って何だよ」
「いいじゃないですか、虫にかまれても何ともならないんですから。かゆいんですよ」
「まあ。そうだけどさ。なんかさ、蚊でもアブでもなんともないんだよ」
「痛くもなんともないんでしょ?」
「いやいや。チクとはくるけど、そのあとは何もないんだよ。どこだっけ刺されたのはって感じだよ」
「うらやましい限りですよ、社長」
「まあ、そうほめられると照れるな」
「いやいやいや。ほめてないから。ひとでなしって言ってるだけですから」
「じゃあ、行ってみる?毛虫が多いから、注意してね」
「いいなあ、ひとでなしは」
「さあ、最終日だよ。チャッチャッチャといきましょう」
「じゃあ、隣いってきます」
「おう、気をつけてな」
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「来た〜」
「お〜幸先いいじゃないですか」
「あれ!?山田さん、今日もヤナとん、よそみの術ですか?」
「ええ、あらたなテクニックですよ」
ガバッ!
「ふん。どうですか?いいのがとれましたよ」
「お〜立派だ。46cm」
「ぺーも見習えよ。早く釣れよ」
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「暑くなってきたね」
「ええ、ちょっと危険な感じがしますね」
「そうね。さっきから山田君の一匹を除けば、雷魚ばっかだもんね」
「そうなんですよ。ぺーですら、冷静に見送ってますからね。アタリを」
「全くね。それ位の気持ちでバスもやってくれればいいのに、何でびっくりばっかりなんだよ」
「それはですね。ボフボフボフ、雷魚のアタリが続いて、たまにガバッってくるもんだから、ついついびっくりしちゃうんですね」
「じゃあ、今度は耳栓も持って来いよ」
「すまん。釣れてしまった」
「え!?何でそんな冷静なんですか」
「だろ。柳沢見習ってるんだよ。『釣れた』」
「え〜と。46」
「社長、口は閉じて、尻尾は開くんですよね?」
「え!?なってるだろ」
「い〜え。なってませんよ。ほら、45ですね」
「あれ!?変だな」
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「部長、釣れたの?」
「釣れたけど、違う気がする」
「え〜また」
「はい、雷魚です」
「気を取り直して。えい!」
クイクイ。ヒョコヒョコ。ガバッ
「来た〜。今度こそ、ブラック」
「45cmですね。ルアーは何ですか?」
「麻呂ペン、銀箔オイカワカラーです」
「高級ルアーですね、3万円。雷魚じゃなくて良かったね」
「全くです」
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「あ〜加藤君、覚えてるかな?」
「何でしたっけ?」
「社長、無理ですよ。ゆるい子なんですから」
「『踏むな』って言ったろ、エレキは」
「そう。たまには後ろもみる」
「あ、すいません」
「あ〜もういい。オレは反対投げる」
「柳沢君みたいにバックハンドで投げようと
するから、ひっかかるんだよ」
「え?ちょっとやってみようかなと」
「社長、いいじゃないですか。我々は釣ったし」
「あそっか。じゃあ好きにやってもらっていいんだけど、
釣れた理由を考えながらやってね」
「任せてくださいよ。いっぱい考えちゃいますよ」
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「う〜よく寝た。ここはどこ?」
「社長、一番上ですよ」
「またぁ?」
「ええ、好きなようにやっていいからって言うからですよ」
「で?」
「ええ、投げりゃあひっかける。動かせば雑。で、どんどん進んじゃう」
「ってことは、アタリもなく?」
「ええ、2回程、びっくりしてましたよ。呆れて自分も寝ましたよ」
「あ〜加藤君、そろそろ戻らないと。今晩中に帰れないよ」
「社長も自分も休みですから、いいですけど」
「アヒャヒャヒャヒャ」
「たわけ!笑ってる場合じゃねえだろ」
「すいません。Uターンします」
「はい、お名残はつきねども、終わりということで」
「はい、そうですね」
「本日の勝者は、ナント山田君」
「ええ。引きましたよ。46」
「一人でサンルーラル?」
「違いますよ、社長。国見サービスエリアでがっつりいきますよ。な〜、ぺー」
「はい」
「ありゃ〜情けなくなっちゃったね」
「う〜あ〜う〜あ〜」
「だよ。情けないヤツだな。これを踏まえて、年長者の言うことは聞くように」
「早くひとでなしになりた〜い」
「てめえ、それは早く人間になりた〜いだろ。オレへのあてつけか」
「ぺーは良く知ってね、妖怪人間ベム」
「はい、オヤジに聞きました」
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あとがき
「着いたね。国見」
「ええ、ごちそうになりますよ」
「2人とも良〜くお休みで」
「はい、あっという間に着いちゃいました」
「黙ってろよ。ゆるい子は」
「え、何すか?何すか?」
「まあ、みんな無事で何よりです」
「ええ、全くですよ。厳しいのは想定内ですから」
「去年よりはアタリもあったしね」
「はい、天気も初日はちょろっと降りましたけど、何とか持ちました」
「だね。これじゃあ来年はなしかい?ぺー」
「いやあ。来ますよ。絶対」
「懲りないね〜」
「はい。ゆるいんで」
「おっ!その位、自分で言えれば大したもんだよ」
「山田君、ついに半分終わっちゃったよ。折り返しだね」
「ええ、釣りますよ」
「果たして、釣りになるのか?梅雨だからね。じゃあ、また来週〜」
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