異教徒トリオ in 鬼牧川(2013.08.12)

「こんばんわ」
「よう、竹馬の友よ」
「あのさ、12日乗せてくんない?」
「いいよ。兄ぃと2人きりでさみしいなと思ってたところだよ」
「あれ!?山田君は?」
「お盆の準備だって。普通はそうだよね」
「まあね。いいの?ここん家は」
「いいの、オレはモルモン教徒だから」
「またかよ。実はさ、オレもなんだよ」
「いいね。隠れキリシタンみたいで」
「兄ぃはどうなの?」
「たぶん、水面教」
「あははははは。それはみんなだね。社長と乗れるのもこんなときしかないから」
「そうだね。竿投げないでよ」
「大丈夫。あれから精進したから」
「そりゃ結構。現地に4時半で」

本日の登場人物

兄ぃ。「八郎以来ですか」「はい。管釣り三昧でした。ただこの時期は外せません」「あ〜やっぱり異教徒部隊ですね」

新井君。「いやあ久しぶりだね、一緒に乗るの」「だね。操船はオレがするから、ガンガン投げてね」

私。「先週はまさかの自宅待機」「珍しいね」「まあ、いろいろやらされたよ。その分、今日は攻め抜いちゃうから」「お手柔らかに」

「あれ!?誰もいないよ」
「ほんとだね」
「実を言うとさ、おっくうだったんだよ。海の日ばりに人がいるんじゃないかと」
「まあね。平日限定の社長にはツライよね」
「そういうわけ」
「貸切ですね、社長」
「はい。じゃあズンズン準備して行きましょう」
「あれ!?船積んだ車が1台来たよ」
「ほんとだ。ラリー並みに飛ばしてるね」
「落ちるんじゃねえの。あれ!?あの車は土曜日良く見るよ」
「あそうなんだ。俺たち見つけて焦ちゃったんかね?」
「たぶん。あの人たちはいつも、降りたところでやってるから、逆の方に行かね?」
「と、言っておりますが、兄ぃどうでしょうか?」
「当然そうなりますよね」
「了解。ちょい下りのガンガン上りで。今日も暑くなるよ。朝の2時間が勝負だから」
「了解」

「お!っと出たよ。のれよ。あれ?のってる」
「マジで。幸先いいね」
「あ、ばれた」
「そのルアーは何?」
「これ!?アイマのヘリプスっていうギルの形をしたWスイッシャー」
「へ〜。プロペラが前後同じ方向にひねってあるけど、いいの?」
「オレも心配してたんだよ。ボディが回らないか、って。こんな形だから平気だったよ」
「珍しくね?そんなの投げるの」
「市販されているプラスティックのWスイッシャーってあんまりないだろ?」
「そうね。インディーズ系ばっかりだよね」
「で、これが新発売になったわけさ」
「飛びついたわけだ」
「そんな感じ。ラッキーでも出てるんだけど、プロペラがよわっちくて交換しにくいし」
「ほら〜。自慢のルアーを語ってる場合じゃないよ。兄ぃが掛けてるよ」
「あれ!?」



「釣れました。久々です。レッドペッパーです」
「え〜31cmですね」
「いいじゃないですか。出足快調」


「あ!のったよ。ちょっとでかいよ」
「マジで。全然見えなかったけど」
「オレもだよ。あ、ばれた」
「またかよ」
「いや〜面目ない。やっぱヨソミはダメだね」
「まずいな。兄ぃと社長にアタリがあって、オレには何もない」
「大丈夫。タイムリミットまであと1時間半はいけるよ」
「じゃあこれ投げちゃおうかな。メガバス。Giant Dog−X新色で羽根付き」
「陸っぱりの人が増えてきたから、ここはワープして、あっちでやったらいいよ」

「この辺でいいんじゃねえか」
「あ!いきなり出ました」
「新井君、すくってあげて」
「任せてよ。あれ?コンビニ袋も落ちちゃった」
「おいおい。袋はあとですくえばいいから、先に魚だよ」
「あれ!?ばれた」
「おいおい。袋を先にすくっちゃうからばれちゃったよ」
「ゴメン」
「大丈夫ですよ。まだいけますから」
「この先の壁さ、良さそうだよね」
「あ、ほんとだ。じゃあ、社長右やって、俺たち左を撃つから」
「あいよ」




ガバッ!
「いきなり出ちゃった。凄い引くんだけど」
「あ、ほんとだ。でかい」
「お〜すまんね。ルアーはさっきばらした、おはようヘリプス君だよ」
「もしかしてスパイ大作戦?」
「流石、同級生」
「おはようフェリプス君って言いたいわけね」
「それ」
「43cmだね。立派だね」

「う〜う〜」
「眠いの?」
「眠い」
「操船替わるよ」
「いいの?悪いね。じゃあ寝るから」
「え!?この炎天下で?」
「あ〜いつものことだし。2人も寝た方がいいよ」
「無理でしょ」

「お〜たった30分だけど、すっげ〜楽になった」
「凄いね。こんなとこで寝られるなんて」
「いいしょ?暑いのは得意だから。あれ!?あれは死魚じゃね?」
「ほんとだ。あんなの釣ったら、大変だよ」



「すいません。釣りました。死魚」
「頼むよ。同級生」
(気持ち悪いので、モザイクをかけました。とんでもない悪臭でした)


「あのさ、操船おかしいけど」
「そうなんだよ。こっち側は苦手なんだよ」
「あ〜左足で踏めねえのか。操船替わるよ。どうせオレは投げないから」
「悪いね。どうもダメなんだよ、左は」
「左足でも踏めて、左手でも投げられる。楽だぜ」
「そうなんだけどさ、なかなかね」
「右も変だよね、投げ方が」
「分かってる。脇が開くから、肘から先での遠心力キャスト。しかもリキんでる」
「あ、わかってはいるんだ。それだと肘が痛くなるのは無理もない」
「痛いんだよ」
「だろうな。竿が曲がってないもの。勢いがある分、バックラッシュはするけど、ルアーが飛ばない」
「そう。あとからルアーがヘロヘロヘロって飛んでくるんだよ」
「そこは直しておいた方がいいよ。竿を上手に使えれば、楽チンだから」
「そうだね」
シュ〜シュ〜シュ〜
「何のスプレーだよ、それは?」
「冷却剤。熱中症対策だよ。氷も首にのっけてさ」
「あ〜それはやっといた方がいいよ。シュ〜シュ〜シュ〜って、やっている間にオレが投げるから」

シュ〜シュ〜シュ〜
「おいおい。またやってるの?」
「うん。ちょっとヤバイ感じ」
「じゃあさ〜。ここでUターンして、帰りながらやるか。メシも食ったし」
「じゃあ、その線で」
「オレも兄ぃもいつでも上がれる状態だから。帰るコールは新井君次第。『今でしょ』でもいいんだよ」
「わかった。兄ぃも強いね。平気なの?」
「ええ。職場が暑いんで、その辺は平気ですね」
「そう。オレは職場がぬるいからな。エアコンびんびんだし」

「あ〜残念だったね。お疲れ」
「まあしょうがないよ。2匹は掛けたから。ばらしちゃったけど」
「それも、投げ方なんだよ。必ずって言う位、バックラッシュするでしょ。それを直してるから、糸がふけてルアーは動かないし、魚が出てもアワセが効かない。止水だったら、かまわないんだけどね」
「今日再確認したんで、次は大丈夫だよ」
「そりゃあ良かった。撤収!」


あとがき
「社長、大変」
「何だい?」
「兄ぃが熱中症で倒れた」
「2人ともいなくなっちゃったから、どうしたかと思ったんだよ」
「今、日陰に寝かしてある。氷と飲み物で体中を冷やしてる」
「新井君は平気なの?」
「大丈夫。船の上で対策したから」
「船上げるときに、兄ぃがこけたんだよ」
「たぶん、そのあとだよ」
「じゃあ、片付けたら、見にいくから。ここに氷があるから先に持って行って」
「了解。オレは一回なってるから、対処はできるから」

「どうですか?」
「すいません。少し良くなりました」
「さっき脈はかったら、少し速い位だったからもう大丈夫」
「氷水とかバンバンかけちゃえば良かったんじゃないの?」
「いっぱいあればね。2袋しかなかったから、効かなかったときを考えると、動脈付近を冷やした方がいいんだよ」
「へ〜そうなんだ。そういうもんなんだ。オレは頭からかぶればいいと思ったんだけど」
「ね〜兄ぃ、こういう体力バカのオヤジと一緒にいるとおかしくなるから、自分のペースでやった方がいいですよ」
「はい。良くわかりました」
「2人とも寝ないからだよ」
「寝られないって。あんな炎天下じゃあ」
「いやいや。日陰でメシ食ったじゃん、あのとき」
「そのときは元気なわけさ。日陰だし」
「へ〜。バッカで〜す」
「全くな〜。とある釣具屋の店長を泣かせ、大工のお客さんを泣かせ、どんだけ強ええんだよ」
「バッカで〜す」



「これいいだろ?」
「お〜!凄え」
「八郎であった人がやってたんだよ。社長もやった方がいいよ」
「もう遅いけどね。ボロボロだし」
「まあ次に備えてさ」
「確かにこれはいい。100円ショップの布団はさみ」
「みなさ〜ん。この時期、社長と行くときは注意してくださ〜い」
「バッカで〜す。来週は奴隷旅行なので、26日です。
同行者はよわっちい山田君です。お楽しみに〜」




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