「もしも〜し、大下です」
「お〜、こんちわ。なんだい?」
「8日乗れますかね?」
「乗れるよ。俺とワイパーと3人で」
「あれ!?山田君は?」
「望んで、部長と」
「部長…っすか…」
「そう。それよりもワイパーだよ」
「あ〜そうでしたね」
「まあ、良く言っておくから大丈夫でしょ」
「何時に?」
「現地に5時半だね」
「了〜解です」
「うぉっほっほっほ、こんにちわ」
「あら、ご機嫌じゃないですか」
「ええ。履歴書を送ったんで」
「もういいんじゃないの。生涯プーで」
「何言ってるんですか。そうはいきませんよ」
「そうなの。いまさらって気がするけど。3年半もプーで」
「いやいや。8月は働きましたよ」
「1288分の25だよ。説得力に欠けるよね」
「まあ、それはさておき、1日は行かなくてよかったですね」
「ね〜。まさかの台風。でも、思ったより降らなかったんで、やろうと思えば、できなかったことはなかったよ」
「いやいや、いいでしょう」
「そうね、危険だからね。うちの奥方なんか、大喜びだったよ『え!家にいるの!!』って」
「あ〜。結構なことじゃないですか。映画でも行かれました?」
「そうです。モラージュへ。踊る大捜査線を見に。一階でパン買ってね」
「あ〜『うまい』って言ってましたよね」
「大量買いしたんで、食べる?」
「え!?まだあるんですか?」
「ないよ」
「何ですか、それは。いいですよ、自分で行きますから」
「あ〜お姉さんとね」
「ええ。誕生日が近いんで」
「俺は何もあげないよ。普段いろいろなもの取られているし」
「まあ、そうおっしゃらず。何か1つ、是非にと思いまして」
「言葉は丁寧だけど、それはユスリだね」
「そこまでではない…と思いますけど」
「月曜日ね、現地に5時半だから。部長と仲良くしてね」
「ええ。心得てますよ。部長とは初ですから、楽しみですよ」
本日の登場人物
部長。「船積みました」「当然です」 |
山田君。「あ〜部長は船積みましたかね?」「あ〜さっき聞いたら、『今積んでる』って言ってたよ」「あ、じゃあいけますね」「自分で電話すりゃいいじゃん」「ええ、知らないんで」 |
ワイパー。「大丈夫?」「はい。先に行って寝てます」「そうしてくれ」 |
大下さん。「どうすっかね?」「う〜ん、なんとも」 |
私。「はっきり言って気が重い」「何でですか?」「祭日じゃん、山田君。平日に慣れた俺はツライよ」「確かに」 |
「おっ!意外に人がいない」
「って言うか、1台だけですよ」
「ね〜。まだ暗いのに何時からやってるんだろうね」
「全く。だいたい水の状態もわかんないですよね」
「山田君、鋭いじゃない」
「ええ。1288日やってますから」
「ベテラン機長並だね」
「社長、例えが変ですよ」
「そうかな。じゃあ、水の具合もいいみたいだし、行ってみる?」
「はい。どちらへ?」
「部長と山田君は先に上がった方がいいと思うよ。俺たちは後から行くから」
「いいですか?釣りますよ。うぉっほっほっほっほ」
「じゃあ、寝ないで頑張って」
「まずは、対岸ですか?」
「甘い。まずは、船を下ろしたところからやるから。意外と熱いんだよね」
「だからって、それですか、ルアーは?」
「これ。ペンシルベイト。やや立ち浮き」
「社長、でかくないですか?」
「矢嶋君、でかいよね、これ。ガンクラフトだから」
「あ〜見た目は凄い釣れそうですけど」
「だろ。オレも大下さんも即買い。ほら〜大下さんの竿にも付いてるでしょ、色違いが」
「マジですか、大下さん。今日は初同船なんで、お世話になります」
「あ〜矢嶋君、うまいから安心だよ。で、いきなり釣れそうなWスイッシャーなわけ?」
「あ、はい。あ!」
「出たね、今。ルアー替えよ」
「社長、早くね〜っすか」
「何とでも言って、大下さん。こいつをジャカジャカさせて、バスを呼ぶ。えい!」
チャポ。ジャカジャカ…ジャカジャカ…シーン
「おかしいな。あ!あっちでボイルしてる」
ドカン
「フッ。オレの?あ、のってる」
「完璧よそみで、34cm。ルアーはお馴染み、
オリジナルフィーのチャートドレスアップ版」
「チャートっすか…」
「はい。自分もチャートでした」
|
「社長ですか?いかがです?」
「オレ、よそみで34cm。ワイパー1バイト。大下さんノーバイト」
「こっちは部長が釣りました」
「39cm。ルアーは麻呂ペン。オイカワカラー」
「こっちはそれっきりなんで、寝ようかと」
「そうですね。こっちも寝ますよ」
|
「う〜喉が渇いた」
「はい。自分もです。思わず目が覚めちゃいました」
「今頃はさ、日向で寝ないと寒いんだよね」
「はい。その分、喉が渇いちゃいました」
「ちょっと早いけど、メシにすっか?」
「あ、はい。お湯沸かします」
「大下さん、大下さん。メシだよ」
「う〜」
「団子屋のおばさんみたいな感じだけど」
「う〜」
「あんなに寝付きがいいのに、何でそんなに寝起きが悪いの?」
「う〜」
「社長と大下さんは、ほぼ同時にいびきをかいてました」
「だよね。早く、寝床作んないと、俺も大下さんも即寝だよって言った後、全く記憶がない」
「はい。5分とかかりませんでした」
「あ〜寝たし、食べたし。行ってみる?午後の部」
「あの辺が風裏ですよね」
「そう。あそこは逃してはいけない場所なんだよね。トンボ向きだろ」
「はい。自分はWスイッシャーで。大下さんはガンクラフトですか?」
「違えよ。大吉のブタみたいなWスイッシャーで」
「行け!チャートのセミトンボ。えい」
ポチャン。クイクイ。クイクイ。ヘロヘロヘロヘロへロ
「社長、いつからそんなゆっくり巻けるようになったの?」
「前からだよ。3投位なら。自分でも信じられない位、ゆっくり巻いてる…でしょ?」
ヘロロヘロヘロ。ドーン!
「出た。のった〜けど、ばれた」
「もったいないですね」
「大丈夫。パターンが分かったから」
ヘロヘロヘロ ヘロヘロヘロ
「あれ!?見破られちゃったかな。少し早くしてみるか」
シュルルルルシュルルルル。ドカン!
「のった。今度は大丈夫」
「あれ!?37cmしかない。立派なのにな〜」
「そんなもんですか…」
「そんなもんだったよ。調子良さげだから、もう2往復位しちゃう?」
「いいすっね。そうしましょう」
ジョロロロロロ。ドン!
「あ!ばれた」
シャバシャバシャバシャバ。ドン!
「あ、ばれた」
「いや、凄かったね。オレ14発、矢嶋君も大下さんも同じくらいでしょ?」
「ええ。ばれてばっかで」
「そろそろ移動してみる?」
「そうっすね。風も弱くなったんで」
|
「あ〜部長達も来たよ」
「あれ!?山田君、何怖い顔してるの?」
「そんなことはないですよ。団子屋のおばさん似の大下さん」
「そんなね。ノーバイ野郎に言われたくないよ」
「いやいや。バイトはありましたよ。数回」
「あそう。こっちは、ばれてばっかだよ」
「この先、ちょろっとやったら、戻るでしょ?」
「はい。やりながら、戻ります」
|
「おかしいね。ナイスキャストを連発しているのに。矢嶋君」
「はい。たまに出るんですけど、のらないです」
「バンバン打っちゃっていいから。大下さんはいないと思って」
「いえ。それは…」
「いいんだよ。投げりゃあ、バックラッシュだし、引っ掛けるだし」
「そ〜うなんすよ。DCにしてきたのに」
「あ〜ダメだね。そんなハイテク頼みじゃ」
「え〜。社長だって、カルカッタでしょ」
「やっとね、AVAILさんからスプールがあがってきたんで、試しているとこなんだよ。昔はさ、これが予備リールだったんだけど、予備にならないわけよ。で、お蔵入りと」
「DCじゃ、ダメ?」
「現に釣りがままならず…でしょ?」
「ええ、まあ…」
「オレのは、スプールだけで、あとは自力なわけさ。そういうDCみたいな機械じゃなくて、感覚」
「まあ。ルアー取り替えると、2回はボッってなるんで」
「でしょ。それはDCってメカに頼ってるわけでしょ。ベテランなんだから、培った経験と感覚で調整した方がいいじゃねえの?」
「は〜そんな気も」
「あっ!のりました。やっと」
「うわ〜小っさ」
「う〜ん。29cm」
「いいじゃん、釣れたんだから。ね〜大下さん」
「チャートか…」
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あとがき
「お疲れ様でした」
「お疲れお疲れ。ね〜大下さん」
「はい。お疲れでした。1日やっちゃいました」
「最後の場所も、ボッってやってましたね」
「は〜い。ガサガサガサガサってのも、やってましたよ」
「ってことは、勝者は部長。敗者が大下さんと山田君」
「…ですか…」
「ですね、大下さん。自分もですよ」
「山田君、ナイスキャスターに変身したのに。ダメ?」
「ええ。入れればいいというもんでもないと」
「そう。山田君の場合は、女体と同じで、入れたら終わり」
「社長、違いますよ」
「う〜ん。このままじゃあ終われないな」
「あれ!?また来ればいいじゃん、大下さん。まだ行くよ」
「そう…っすね」
「まずはリールだね」
「あ、あと、チャートです。大下さん」
「チャートか…」
「信じてないでしょ?俺もワイパーもチャートばっかだったじゃん」
「あれ!?大下さん持ってないの?自分もバイトはチャートですよ。うぉっほっほっほ」
「う〜ん。塗る」
「オレも塗ろう」
「自分のもお願いしますよ。誕生日が近いですから。ね、皆さん」
「うぉっほっほっほっほ。無視して、また来週」
「社長、明日行きますから」
「また、来週〜」
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