「おはようございます」
「あら、山田君。相変わらず早いね」
「そういう社長もまだ10分前ですよ」
「まあ、大人だからね」
「ええ。そうですね。さっき、金井君たちが通りましたよ」
「なるほど。じゃあ行きますか」
「おはようございます」
「やあ、お2人。どうなの?水は」
「結構多いですよ」
「あ〜そうだろうね。この木、見てみなよ。あんな上にゴミが引っかかってる」
「ほんとですね。社長たちはどうしますか?いつも通り下りますか?」
「山田君、どうしますか?」
「下りましょう」
「やった。上じゃないと。ラッキーポイントが上なんです」
「こんなに増水してるんだから、ラッキーポイントなんてなくなってるよ。ぺー」
「ま〜じですか。金井さん、どうしたらいいですか?」
「知らねえよ。自分で考えろよ」
「はい。去年、自分で考えて、八郎でやったら、ノーバイでした」
「いやあ。それ、笑うに笑えないね。聞いたことないよ」
「社長、お願いしますよ」
「いや、オレは山田君のお世話で精一杯だから。じゃあいく?下りるから。あれ!?」
「どうしました?」
「石、忘れた」
「ええ!?大変じゃないですか。自分たちが下りましょうか?」
「大丈夫だよ、金井君。コンビニ袋でパラシュートアンカー作るから」
セッセッセッセ。
「山田君、お待たせ。できました」
「なるほどね〜。社長はこういうのどこで覚えたんですか?」
「あ〜ボーイスカウトだよ」
「マジですか。そういうのも教えてくれるんですね」
「嘘だよ」
「ええ!?」
「ほら、憧れたでしょ。ボーイスカウト」
「ええ。憧れましたよ」
「じゃあ行くよ」
「無視ですか」
「そう。時が経つのは早い」
「反応ないね」
「ええ。全く」
「雰囲気はいいんで、往復するから」
「わかりました」
「あ、山田君?何フンフン言ってるの?あれ!?竿曲がってるし」
「アミ、アミアミアミ」