「こんにちわ。困りましたね。この間の大雨は」
「いらっしゃいませェ〜」
「社長、サブは今、出向中ですよ、太田店に」
「そうだった。弱ったね。どこも洪水並み」
「ええ。今行ったら、新聞に載りますよ」
「『でへへへへ』ってか」
「ええ。行きませんよ。彼みたいには」
「困ったね。候補としては、桧原湖か加賀フィッシング」
「お!いいじゃないですか、桧原湖。風光明媚で。ハイレグもんですよね」
「あ〜山田君、いないよ。水泳場じゃないんだから」
「あ、そうすか」
「と、思ってたんだけど、さっきのニュースで福島はヒドイことになっている」
「あ〜そうでした。無理でした」
「いよいよ、加賀?」
「いえ。それでは金井君が行かないですよ」
「だよな。お!ワイパーからメールだ」
「何ですって?」
「これ」
「あれ!?」
「ちゃっかり小鮒川だって。ちょっと濁りが入りつつあるものの、好調だって」
「じゃ、決定じゃないですか。今年、行ってないし」
「問題は金井君だな」
「ええ」
「よし。タナゴをのぞきつつ小鮒。名付けて、オペレーション・カケモーチ」
「そんまんまじゃないですか。でも、いいと思いますよ」
「じゃあ、そのオペレーションについて、山田君が金井君に連絡してよ」
「あ、わかりました」
「もしも〜し」
「あら、部長。こんにちわ」
「月曜日は行かれるんでしょうか?」
「行きますよ。バスフィッシング」
「あ〜」
「何?」
「乗れたらな〜」
「何に?」
「いえ、船に」
「あ〜ん!?」
「いや、行きたいな〜っと」
「何だよ、はっきり言えよ」
「釣りに行きたいということす」
「あ〜休みなの?大丈夫だよ、乗れるよ。山田君と3人で」
「じゃあお願いします」
「現地に4時半だから、合わせて来てくれれば」
「送迎ですか?」
「い〜や。絶対にしない。先週だって、『運転は任せてくださいよ』って言ってて、爆睡だよ」
「あははははは。相変わらずですね」
「全く」
「じゃあ、お願いします」
本日の登場人物
金井君。「ここも1年ぶりです」「え、また48?」 |
ハルオ君。「ご無沙汰してます」「それほど、じゃないでしょ。ねえ、山田君」 |
山田君。「ええ。ぼちぼちですよ」「釣りますか?」「もちろん、釣りますよ」 |
部長。「実は、海水浴が延期になりまして」「あ〜新潟じゃあね」 |
私。「ここは楽しみなんだな。部長もいるし」「え!?え!?何ですか?」 |
「寒いね」
「はい。社長。真夏ですからね、格好が」
「かっぱ着るよ」
「濁ってない?」
「ええ。メチャクチャ」
「お2人は寒くないの?」
「まだ、大丈夫です」
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「全く、何もないね」
「ええ。魚っ気、全然ないんですけど」
「夏とは思えない感じだよね」
「ええ。あそこで少し休みませんか?」
「どう?」
「全然です」
「ワイパーに騙されました」
「ハルオ君は?」
「はい、ちょっと冷えたんで、体操してます」
「山田君もやれば?」
「何ででですか?」
「ここで好印象をうっておいて、無事就職ってのはどう?」
「何がですか?ハルオ君ちにですか?」
「そうだよ」
「どうかな、ハルオ君?」
「はい。考えてみます」
「良かったじゃない、山田君。じゃあ、俺は寝るから。部長、操船」
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「あ〜良く寝た」
「いや。社長、大して寝てないですよ。今度は自分が寝ますから」
「社長、シンキングペンシルやりますか?」
「お!部長、察しがいいね。やるよ。ここの楽しみだからね」
「やたら、アタルんだけど」
「ギルギルいいながら、社長は6匹釣りましたよ」
「去年もそうだったね」
「17cmからはじまって、42cmまで」
「ね〜。だから、陸っぱりの人とか、トーナメントの人とかが多いんだね。魚多いよ」
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「じゃあ、自分達は対岸に行きます」
「あいよ。ほんとはさ〜向う側行きたかったんだよ」
「そうですね。やってませんから」
「ね〜。でも、風当たりなんだよ」
「ええ。確かに」
「操船が大変じゃない?」
「たぶん」
「あ〜山田君でもわかるでしょ」
「ええ」
「そうすると、部長が根をあげて、俺が操船になるだろう」
「なるほど。深いですね」
「これはオペレーション・カケモーチの一環なんだな」
「ホントですか?」
「あれ!?金井君釣ってるよ。ここから見ても、でかいよ」
「48です」
「マジで。また…ルアーは何?金井君」
「はい、山田君おすすめのアドニス・クラッパーです」
「う〜ん。社長、明日買いに行きます」
「勝者、決定」
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あとがき
「お疲れ。凄いね、金井君」
「はい。ちょっとのってます。朝、タナゴ川に着いたときは、大増水でびっくりしましたけど」
「だよね。連絡貰って、急遽小鮒に来たわけだね、山田君」
「ええ。社長の作戦通りじゃないですか」
「オペレーション・カケモーチ、見事ですね。楽しかった、俺」
「ええ。社長と金井君だけですよ、楽しかったのは」
「そんなことないでしょ。みんな楽しそうだったよ」
「ええ。モチロンそうです。欲を言えばですよ。魚が」
「確かに。まあ、ここに来たらさ、シンキングペンシルは毎度のことじゃん」
「今日の状況では、仕方ないですか」
「そうだよ。マッチャッチャで風ビュンビュンで寒い」
「ええ。ホントですよ。まあ楽しかったんで」
「じゃあ、良かった。部長、お疲れでした。帰りも俺が運転するから」
「ありがとうございます。食事は?」
「どうする?連勝の金井君」
「じゃあ、サブで」
「了解」
「社長、運転辛くなったら、いつでも言ってください。代わりますから」
「あそう。まずコンビニ行って、ゴミ捨ててアイス食べて、帰るとしよう」
「何だよ、この人。コンビニ出て、5分だよ。あ〜山田君、寝ててくれてもいいですよ」
「あ〜まだそういうモードではないので、大丈夫ですよ」
「あれから10分経ちました。みなさ〜ん、山田君は既に爆睡中です。こんなヤツです。皆さん、また来週〜」
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