「料金は1,000円です」
「1,000円だって。ひゃっほひゃっほ。感動的だね」
「社長、本当ですよ。600km近く走って1,000円」
「今回はね〜宿泊代も2,500円だし。だいぶ経費節約できたよ」
「うぉっほっほっほ。じゃあ社長、ごちバトルはゴージャスなディナーで決まりですね」
「ごちバトルって、夕飯勝負かな。サンルーラルの最上階で、本日の勝者を祝うわけだ」
「うぉっほっほっほ。その通り」
「うぉっほっほっほ。ばらしてばっかりの山田君。気をつけなよ、3連敗なんてのを」
1日目
「あれ!?水が多いですね、社長」
「いいんじゃない。下ろすの楽で。濁ってないし」
「どっちへ行きますか?」
「柳澤君たちは、この出口で楽しんでくれよ」
「え!いいんですか?釣っちゃいますよ」
「ああ、いいよ。明日譲って貰うから。ねえ、山田君」
「ええ。釣りますよ。ごちバトル開催ですよ」
「まあ、3連敗しないでね」
「あれに見えるは、先発隊のソレガシ、EDWIN組だ。よう!」
「おはよう」
「おはよう」
「どう?お2人」
「新井さんが絶好調。川島君のHACHIROによる新ワザで」 |
「今年もご出産です。何と言う鳥かね?」
「うぉっほっほっほ。トンビの恩返しですよ」 |
「おう!どうしたい、ヤナギ」
「全然、出ないんで、移動してきます」
「マジで!?」
「はい、全くです」
「だってよ、山田君」
「ほんとですか?あそこで出ないなんて、不安ですね」
「不安も何も、君まだ何も釣ってないんだけど」
「うぉっほっほっほ。今年もばらしてばっかりです」
「全くだね。そういう俺もまだ釣ってないんだよ」
「山田君、兄ぃも俺も釣ったんだけど…」
「ええ。兄ぃは今季初バスが48でお見事です」
「お見事だよね。ちなみに俺は46が頭なんだけど」
「ええ。見ましたから」
「じゃあ、もっとガンガン投げて、いろいろやってみてよ」
「ええ」
「はぁ〜。ふぅ〜」
「あのさ。溜息なんかつかないで、ガンガンいってよ」
「はぁ〜」
「いい加減にしろよ。寝てろよ!」
「いえ。そういうわけでは。はぁ〜」
「ああ、もういい。好きにしろ」
「ふぅ〜」
「きたぁ〜!?」
「絶対、ばらさないでよ、山田君」
「後ろ空けてありますから、抜いてください」
「兄ぃもああ言ってくれてるから、寄せて寄せて」
「取ります。よっしゃぁ〜。あれ!?」
ドボン!
「あ〜ルアーが。魚が〜」
「矢島さん、いいから。飛び込まないで」
「すいません。須田さん…」
「兄ぃ、気にしないで。山田君、いっぱいルアー持ってるから」
「ええ。その通りです」
「でも…」
「あ、あっちの船に探して貰おう。お〜い、…という訳なんだな、頼むよ」
「はい。任せてください。場所はどの辺ですか?」
「あそこのマンモスの鼻みたいなところだよ」
「行って来ま〜す」
「もしかして、これですか?」
「あ、全然違うから。君たち貰ちゃっていいよ」
「社長、何言ってるんですか。あれですよ。これですよ」
「いやぁ、良かったね、見つかって。一番ほっとしたのは、兄ぃだよ」
「ほんとです」
「本日終了!全員に山田君がご馳走してくれるそうで〜す。パチパチパチパチ」
「あ、お礼ですね」
「それ。ねえ、山田君」
「全然、違います。ごちバトルは負けましたので、兄ぃにおごります」
「ちぇ!セコイの」
「いえいえ。全然せこくないですから」
「まあ、そうだね。じゃあ明日頑張って。網、買いに行く?」
|
2日目
「あれ!?先行者がいるけど、どうしますか?」
「移動すっか。どうかね、敗者の山田君?」
「ええ。昨日のとこ行きましょ」
「決定。移動開始」
ポキッ!
「あれ!?ハンドル折れた」
「じゃあ終了ですか?」
「山田君、そんなわけないだろ。予備を持ってきたよ。早く釣ってね」
「風が弱くなったから、反対側行こう」
「はい」
「ソレガシに貰った饅頭使ってみなよ、山田君」
「やってみます」
「饅頭良かったですよ」
「2人とも良かったじゃん。凄いバイト数だったし」
「はい。饅頭様様ですよ。帰りに土産買っていきますよ」
「本日の勝者は誰かね?」
「自分ですよ、社長」
「何ぃ!?」
「え!?須田さん釣ったんですか?」
「ええ。皆さんの温情で」
「良かったね、山田君。48cm。でかかったよ。饅頭様様。敗者は、ヤナギと部長に決まり」
3日目
「朝だ朝だ〜朝だ〜よ。朝日が昇るよ、皆の衆♪」
「朝から元気ですね。誰よりも遅く寝てるのに」
「あ〜。そうだね。馬鹿チンだから」
「行くぞ。右側貰っていい?」
「どうぞ」
「だって、山田君。早く釣って」
「釣りますよ」
「風びゅんびゅんだから、上流の風裏に行ってくるよ」
「わかりました。あとから行きますよ」
「頼みの風裏もさっぱりだったね。どうするお2人?」
「終了にしましょう」
「山田君は?」
「どっぴゅっ!とフィニッシュって感じですかね」
「元気が出て、良かったね。山田君」
「どうですか?」
「さっぱりだけど、右側はまだやってない。こっちは終了」
「じゃあ、そこだけやって撤収します」
「早くした方がいいよ。雨降りそうだから」
「キタァ〜!!」
「絶対ばらさないで。部長。お願いしますよ」
「あう」
「はい。計測の結果、45cmです」
「撤収!」 |
「お〜い。橋の下に避難!」
「あれ!?左側はバスボートの人がいますよ」
「じゃあ、俺らは橋桁のところで」
「凄い雨ですね、社長」
「はい。凄いね。山田君、真ん中にいてね。危ないから」
「はい。わかりました」
「あのぉ。山田君、真ん中にい・て・ね」
「わかりました」
「ダメだ。危ない。岸に上がろう」 |
「お〜い。船そこに付けるから、皆で岸に上がろう」
「わかりました」
「部長、はしゃいでないで、早く上がれよ。危ねえから」
「はい。あ、はいはい〜」
「弱ったね、この雨は。どうする?これから行けば、状況変わってって気もするけど」
「いやあ。時間も時間だし、終わりにしましょう」
「いいの?山田君」
「ええ。1勝しましたから」
「1敗してるから、2敗じゃん。負け越しだ」
「ええ。大丈夫です。満足してますから」
「じゃあ、良かった。勝者は部長。雨も小降りになったことだし。撤収〜!」
あとがき
「どうでしたか、今年の合宿は?山田君」
「楽しかったですよ。今年も」
「そうだね。いっぱいばらしたし」
「はい。そうでした」
「次回からは、網持ってこよう」
「え、いいんですか?」
「網使わないのは、俺のこだわり。でも、それを強制するのは、旦那だけでいい」
「なるほど。そうですね。そうしましょう」
「そういやあ、帳尻合わせのルアーは持って来なかったの?」
「ええ。車に忘れちゃいましたよ」
「何で、チャートじゃないんかね?」
「『お祝いだから』って言ってましたよ」
「お祝いにしちゃあ、出来がイマイチだよね」
「いいんじゃないですか。時間もぎりぎりだったし」
「え〜。半年も前に、下準備は出来てたんだよ」
「そう…ですね。完成したのは、出発する2時間前だよ」
「流石ですね」
「流石だ。旦那だからね」
「はい。来週からまた厳しい修行が始まりますよ、社長」
「いやいや。山田君。その前にやることがあるでしょ」
「あ、ハローワークですね」
「そうです」
「でも、来年も来ますよ」
「え!?何、730連休?」
「何言ってるんですか…来年は有給休暇で来るんですよ、社長」
「そう。そりゃ結構。また来年〜」